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2020/02/04 お知らせ

レッスンレポート 「ELECTRIC BASS SPILITS」Vol.8

 SHEENA & THE ROKKETSのベーシスト・奈良敏博氏によるレッスン「ELECTRIC BASS SPILITS」も、この1月31日で第8弾をかぞえ、徐々に難易度が上がっている。

 2020年1発目となるこの日のレッスンは、過去にない過酷な内容となったようだ。

 まず奈良氏がAm7からの3つのフレーズを提示する。
 1つ目(A)は基調となるフレーズで、5~7フレットの2~4弦を使うパターン。
 2つ目(B)は、そのオクターブを変えた変化形で、左手の動く範囲は9フレットまで広がることになる。
 そして3つ目(C)。左手の動く範囲はさらに広がり、5~12フレットを行き来する運指が求められるフレーズだ。

 受講者はいずれも2小節ずつ、A→B→Cと繰り返すグループ、B→C→Aのグループ、C→B→Aのグループと分けられた。

 いざアンサンブルがはじまると、やはりCのフレーズがネックとなりリズムが崩れがちとなる。それでもかまわず奈良氏は延々と同じフレーズを繰り返させる。

 受講者のレベルによって、当初は初級者が悲鳴をあげていたが、続けていくうちに中級者も上級者も歯を食いしばって弾くように…。ところが面白いもので、ある時期をこえると、力が入っていた受講者の左手の動きがスムースになり、それぞれ音が明確に聞こえるようになってくる。

「そう、いいね。力が抜けてきたね…」
 奈良氏のそんな寸評で、受講者はさらに気分よく演奏を続けていく。

 全員がそれなりにマスターすると、奈良氏は次にCのフレーズに変化を加えた。これまで左手の運指が下から上(人差し指から小指)への動きだったものを、上から下(小指から人差し指)へと変化させたのだ。

 ここでまた不思議なことが…。下から上へのフレーズに苦戦していたある受講者が、上から下へのフレーズに変化したとたんに比較的簡単に弾けるようになったのだ。これにも奈良氏はこう指摘する。

「これまでの練習方法や指の動かし方によって、上から下に弾くほうが得意な人もいれば、下からの上のほうがラクという人もいる。それぞれに癖があるから、それをはやく見抜いた方がいいですね」

 Cのフレーズに変化を与え、アンサンブルが再開され、また違った運指によるフレーズに変わり…。

 徐々に難易度が上がっていくなか、あまりに早いテンポについていけず、右手で長音を弾く間に、左手だけで音程を変えていく受講者を発見。すかさず奈良氏が、
「1音1音、確実に! 多少リズムが遅れても、確実に弾いていかないと練習になりませんからね」

 Cのパートのオクターブが上がり、小指で12~14フレットを押さえなくてはならない場面でどうしても音が抜けてしまう受講者には、
「小指を強くしないとね。(そのためには)もう弾くしかない!」

 短いが、的確かつ厳しい声が飛ぶなかで、終盤、A、Bのフレーズの4小節目を弾かずに止めるよう指示がだされた。これでCのフレーズのソロだけが際立つことになる。さらに恒例、同スタジオスタッフでドラマーの的場氏にも出動要請が…。

 的場氏のイントロ。
 奈良氏の「ワン、ツー、スリー、フォー」の声。
 アンサンブルが始まる。
 Aパートこそどの受講者もスムーズに弾いていくが、Bパートでつまづく受講者もいれば、Cパートの、とくにソロの部分でリズムについてこられなくなる受講者が目立つ。

「別のパートの音、ドラムの音をよく聞いて!」
 奈良氏はそう指示を飛ばすが、テンポは落ちることなく曲が続いていく。

 それが数分、いや十数分も続いただろうか。受講者たちにそれぞれ余裕がでてきたようだ。奈良氏が即興でひくギターソロに似たベースラインに刺激をうけたのか、受講者たちが、ソロパートを楽しみ始めた。

 スライド奏法を取り入れて得意げになる受講者、オクターブを変えようとして失敗する受講者、リズムをずらして自分なりのパートに作り変える受講者…。そうなるころには見学者も高揚して、手拍子・足拍子で見事にスタジオ内が一体となり…。

 多少の変化はあるとはいえ、同じフレーズばかり1時間30分。最後には腕をさする受講者の目立つ過酷なレッスンだったが、みな、ステージを終えた後のアーティストのような充足感を見せていた。

※次回レッスン詳細はこちら
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